そういえば人形使いに選ばれてました。

 「ん、んー」

 そう形容し難い声を出したのは、ノビをしている寝起きの僕だ。

「あーあー、えぁっ?」

僕だよな?金縛りならぬ声縛りみたいなこと起きてないよな?念のため手や足を動かしてみる。動いた、動いたのだが全く力が入らない。そこでようやく目が覚めてきたので、目をしっかりと開けた。

 そこにまず移ったのは一つのぬいぐるみだった。あまり可愛くなく、売り物にはできないレベルなので誰かの手作りだろうか?というかこんなぬいぐるみ僕は持っていない。となると、ここはどこだ?そう思い、周りを見渡す。

 周りを見渡すと、僕は柵で囲まれたベッドの上で寝ている事がわかった。そして、察した。僕は今、赤ちゃんなのだと。さらに柵越しに若い男女が一緒に寝ている。お盛んなことで。十中八九親だろう。えへへ、泣き喚いてベッドから引きずり出してやろうかなぁ。

 しかし、何故こうなってしまったのか?たしか……

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 そうだ、思い出した。あれはコンビニへ夜食を買いに行った時だった。その日は土曜日で、明日は学校が休みだから、友達と徹夜でゲームする予定だったのだ。そう、予定だった。

 僕の家からコンビニまでは横断歩道を挟んだところで割と近い。だが、夜も車の通行量が多く、よく子供の頃に注意されてたものだ。そして何事もなくコンビニに着き、お菓子などを買って信号が変わるのを待った。

 するとそこに、手作り感満載のうさぎのぬいぐるみを抱えた少女が歩いてき、隣で止まった。遠くでパトカーのサイレンの音がなっている。しかし、こんな夜中にこんな子供を外に一人で出す親もいるんだなと思っていると、いつのまにか信号が青になっていたらしく、少女は歩き出していた。

 僕も追いかけるように歩き出す。次第にパトカーのサイレンの音が大きくなってきた。慣れているとはいえ流石に気になり、音の方へ目を向けると、

 

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 僕と少女が横断しているにも関わらず、そのまま突っ込んできたのだ。反応できずに体が吹っ飛ばされると思ったのだが、すり抜けていったので、混乱してしまう。

「お兄さんはもう死んでるのよ」

 先ほどまで前を歩いていたはずの少女が後ろから話しかける。何が何だか分からない状態で、少女の指差す方向を見てみると、僕と思われる遺体が転がっていた。そこにパトカーが止まり、事情聴取を行っていた。

「生き返りたい?」

 こいつは何を言ってるんだ。そんなこと出来るわけないだろ。それに出来たとしても、そんな危ないことしたくない。

「大丈夫。怖くないから」

 そう言われた途端、暗黒世界に連れ込まれ、今に至る。

 改めて見てみると、さっき見たぬいぐるみは、あの少女が持っていたものと似ている気がする。それに不思議と惹かれるものがあった。何が魅力なのかは分からないが、それも一つの魅力なのかもしれない。

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